キンモクセイが揺れる頃

キラキラした存在にただただ憧れる.推しは世界に優しいです.このブログに登場する「女」は全てわたし自身のことですので悪しからず.

芸術鑑賞1 奇跡の人

すごい.芸術鑑賞が趣味な女になりたいと思っていたら,

片足を突っ込んでいた話をしたい.

芸術鑑賞をしたら財布は空だけど心はいっぱいになった.

 

時系列に書きたいような気がするけど,

今一番自分の中でホットなものから書く!

 

この間,奇跡の人という舞台を観に行きました.

ヘレンケラーとサリバン先生の話です.

有名な話ですので書いてもネタバレ?にはならない?と思うのですが

この先は内容に触れますよ(忠告はしましたからね)

 

鈴木梨央ちゃんって天才!?

まず,目がどこも見ていなかった.ただの一瞬も.

ステージの上では焦点が合っていると感じられるシーンがなかった.

舞台上を歩いている時も,人形で遊んでいる時も,ご飯を食べるシーンですら.

スプーンで食べ物を掬うって,見ないでやるのすんごい難しくないですか?

そのシーンですら視線を下に落とさなかった.

匙に視線を向けない.掬い損ねた空っぽのスプーンを口に運ぶ.

盲目聾唖のヘレンケラーがそこにはいたのでした.

他の人がセリフを言っている時も,舞台上にいる間はずっと.

どこをみているのかわからない目をしていた.

それは俳優・女優として,きっともちろんのことなのかもしれないけれど.

演じたことのない自分からすると,とてもとてもすごいことと感じました.

俳優を生業とすると決めている人,プロだと思った.

 

 

天才

 

 

でも,多分そんな言葉で片付けてはいけない.と思った.

たくさん稽古したんだろうな,たくさん練習したんだろうな.

セリフはないけれど,おそらく初めて指文字に触れたんだろうな.

まだ,あんなに若いけれど,とても胸を打つ芝居をする女の子でした.

 

そして,あんまりよくわかっていないけれど,

そういった細かいところまで演技をつけた方がいらっしゃるということなのよね.

俳優さんがいて,脚本家さんがいて,照明,音楽,舞台装置,

いろんな方の知恵や経験,お力添えで成り立っている.

今この瞬間を逃せない.と感じる芝居をみました.

 

 

 

私を演劇の沼に突き落としたわね…という感じです.

 

 

 

 

舞台の作りも面白くて,演者さんが自分で暗転のなか

道具を持ってやってくるのが見えます.

暗転も本当の真っ暗とそうでない闇があって,演者さんも

薄暗闇では演技を続けていたりするの.興味深かった.

 

ステージの大きなセットは変わらないけれど,

小道具が出てきて場面の変化がわかるようになっている.

さらに,舞台上の奥行きを利用して,

手前と奥では場面が違うという表現がなされていた.

奥で窓の外に向かって投げた枕が,

舞台の手前の上手から飛んでくる.

 

舞台の手前で,上手側に運んで行ったはしごが,

奥のまどにちゃんと掛かっているのが見える.

 

 

そういう見せ方があるのか…

限りある時間の中で,舞台のセット転換を必要な回数だけ行う.

小さな工夫を忘れない.

考えられているのだなと感じた.

 

 

あと,ポンプ!(ポンプっていうの?)

ずっとそこにあるけど邪魔じゃない.

出番の時には水が出るのどういう仕組み???

気になりすぎました.

 

舞台装置にも興味を沸かせるなんて…

今度からみるところいっぱいじゃない!

 

 

そして,高畑充希さんは,高畑充希さんだった.

良い意味で,高畑充希さんがやることに意味がある.

といったサリバン先生だった.

強い訴えにこころ動かされました.

 

何かを相手に伝えるということには,

どれほどの熱量が必要なのか,考えさせられる場面が多くありました.

『愛』という言葉を使って逃げない

サリバン先生は教えてくれているのだなと感じました.

 

 

親たちは愛ゆえに,諦めてしまっていたけれど,

諦めないこともまた愛なのでした.

 

もう誰も愛さないと誓った先生が,

愛していない愛していないと言いながら,

自分にはキスをくれないヘレンに傷つき

受け入れてもらって喜ぶ姿に,人間らしさを感じます.

 

 

あとは,たまたま私は少し指文字がわかるところがあったので,

日本語を話しながら英語を伝えるシーンに感動してしまったのでした.

 

 

最後のセリフが,

「私,ヘレンのこと愛しているわ」だったけれど,

指文字では

「I love Heren」になっていた.

 

 

有名なお話だけれど,私はウォーターのくだりくらいしか知りませんでした.

それでもこんなに楽しめて,たくさん泣いて

とても良い時間をいただきました.

生きててよかった.

 

 

届くはずもないけれど,演者の皆様,関係者の皆様.

感動をありがとうございました.

 

 

芸術鑑賞の沼にまた1歩,足を踏み入れた瞬間であります.

あと,感動しすぎて初めてアンケート書いて帰ってきた.

漢字間違えてたの恥ずかしすぎるけど,私の熱量がどうか伝わりますように.

 

 

カーテンコールで出てきた時の鈴木梨央ちゃんの笑顔をみて

演技のすごさをより感じたりしたものです.