キンモクセイが揺れる頃

キラキラした存在にただただ憧れる.推しは世界に優しいです.このブログに登場する「女」は全てわたし自身のことですので悪しからず.

ハムレット

またしても,今年2回目のハムレットをみました.

今度は 菊池風磨主演 ということで.

一体どうなるのだろうという感覚.

 

岡田将生ハムレットとはどんな風に違うんだろうというワクワク

舞台を見比べると言う贅沢をした.

 

 

まず,セットがぜんぜん違う.

菊池ハムレットは大きなセット何もなし.

回転する黒い舞台に椅子や机,棺,剣,あと幕とかくらいかな.

必要なものがその時出てくるだけ.

大掛かりなものは何もなかった.

 

岡田ハムレットの時は真ん中に大きなセットがあって

回転することでベッドが出てきたり

階段が出てきたりしてたよね.

 

コメディー要素は岡田ハムレットの方が強かったかも.

亡霊が地下から声をかけてくるところとか

笑ってもいいところらしいんだけど,

そこは岡田ハムレットの方が笑えた.何故かはわからないけど.

 

終盤にレアティーズと勝負しないかと伝えにくる人のシーンは

菊池ハムレットが面白かったけど.

 

あとは,私が岡田ハムレットを見て,戯曲を読んで,

ちょっと詳しい人に話を聞いて,かぶれたこともあるかもしれないけど

菊池ハムレットはお話の筋がわかりやすいように感じた.

訳が違うからかもしれないけれど,

はぁなるほど.そういうことだったのね.と思うことがあった.

 

オフィーリアの人物像の解釈だけは合わなかったけど,

(ちょっと気が強すぎる気がした...)

それ以外はかなり好きだった.

「尼寺へ行け」ってすごいセリフだよなぁ.

でも,他の人のものにならないで欲しいの意味か.

と思える演技だった.

「尼寺へ…いってしまえ」の寂しさたるや.

素直になれないのはいつの日も変わらない人間の性か.

 

あと,ホレイショーの目が優しすぎた.

「おやすみなさい,やさしい王子」のセリフが悲しい.

心配していることが伝わる演技だった.

 

 

ハムレットは憧れの父が穢されて,

母にも裏切られたような気がしていて,

自分に本当に復讐をやるのかを問い続けて,

たくさん考えた人だった,と言うことが伝わりました.

 

そして

レアティーズがかっこよかった.

妹の死で,涙は流すまいと耐えていたけど

それでも自分は人の子で…と泣いてしまうシーンが悲しい.

 

 

お墓のシーン.

岡田ハムレットは実際に奈落に降りて

自分にも土をかけて生き埋めにしてくれ と叫ぶシーンだったと思うんだけど.

今回はそういうものはなくて,

演出的には岡田ハムレットの方が好きかな,と思ったけど,

ハムレットがちゃんとオフィーリアを好きだったんだ.

というのを強く感じたのは今回の菊池ハムレットの方だったように思う.

そうか,本当に好きだったんだ…と思って切なくなった.

 

 

ともかく,

ものすごいセリフ量で,饒舌に話す

実は臆病者で愛のある青年であるハムレットのことを

また少し知ることができたなぁと思った講演でした.

当日券だったので見切れもあったけど,

とりあえず見られてよかったです.

 

 

ハムレットが破ったオフィーリアへあてた手紙が

舞台上に残ってしまっていたのだけど

うまく,さりげなく片付けた役者さんがすごかった.

機転が利いている.

 

お話を止めずに,流れはそのままに.

視線をそちらに向けさせすぎないようにさりげなく

やってのけたところが素敵でした.

 

私はいじわるな客なので,

これを一体どうするのかが気になってしまっていたので

バッチリ見てしまったのだけど笑

 

ポケットに入れたりするのかな…なんて思っていたら,

座っている足の後ろにさっと隠して,

暗転して捌ける時に掴んで行った.

不自然な動きは何もなかったし,

ちゃんと先が見えている人の動きでした.

 

 

公演を見るたび思うけど,

役者ってプロなんだなー

 

 

楽しかったです.

今日が東京千秋楽らしいです.

怪我なく,最後まで頑張って.

最後の畳み掛けるようなセリフがとっても魅力的な舞台でした.